見積もりくんAI Pro
打ち合わせメモから、要件整理・概算見積もり・見積書作成までを一気に進めるAIアプリ
「見積もりくんAI Pro」は、Web制作や受託制作の打ち合わせ後に発生する、議事録整理・要件定義・見積もり作成・確認メール作成をAIでまとめて補助するWebアプリです。
お客さまとのミーティング内容を文字起こししてアプリに貼り付けるだけで、案件概要、要件定義のたたき台、概算見積もり、見積もり項目、必要作業、リスク、次回確認事項、クライアント向けメール文まで自動生成します。
Web制作会社やフリーランス制作者が、商談後の整理にかけていた時間を短縮し、見積もりの抜け漏れを減らすことを目的に制作しました。
デモURL
見積もりくんAI Pro
https://mitsumori-ai-pro.vercel.app/
※ 公開環境や検証環境を変更した場合は、上記URLを差し替えてください。
このアプリで解決したかったこと
Web制作の現場では、初回ヒアリングや商談のあとに多くの整理作業が発生します。
- 打ち合わせ内容を読み返す
- 決まったことと未確定事項を分ける
- ページ構成や必要作業を洗い出す
- 制作範囲に応じて概算見積もりを考える
- 金額が変動しそうな条件を整理する
- 次回クライアントに確認する質問をまとめる
- 見積書や送信用メール文を作る
これらはどれも重要ですが、毎回ゼロから整理すると時間がかかります。特に、商談直後は内容の記憶が新しいうちにまとめたい一方で、別案件の対応や制作作業が重なると、整理が後回しになりがちです。
そこで「録音・文字起こし・貼り付け」の3ステップで、見積もり前の整理を一気に進められるアプリとして制作しました。
基本的な使い方
使い方はとてもシンプルです。
- お客さまとのミーティングを録音する
- 録音データをテキストに変換する
- 文字起こしテキストをアプリに貼り付ける
- 「要件・見積もりを作る」を押す
この流れだけで、AIが打ち合わせ内容を解析し、案件整理と見積もり作成に必要な情報をまとめます。
Googleレコーダー、スマートフォンの録音アプリ、ZoomやGoogle Meetの文字起こし、手書きメモを整えたテキストなど、最終的にテキスト化できるものであれば利用できます。
生成される内容
案件概要
打ち合わせ全体の内容を、あとから見返しやすい文章として整理します。
背景、目的、依頼範囲、現状の課題、決まったこと、まだ不明なことをまとめるため、案件一覧から詳細を開いたときに「この案件が何だったか」をすぐ思い出せます。
要件定義たたき台
ヒアリング内容から、目的・デザイン・機能・CMS・運用・コンテンツ・外部連携などの要件を抽出します。
それぞれの要件には、確認済み・仮置き・要確認といった状態を付けることで、見積もり前に確定していることと、まだ詰めるべきことを分けて確認できます。
ページ構成
WebサイトやLP制作の場合、必要になりそうなページ構成を整理します。
たとえば採用サイトであれば、採用トップ、募集職種一覧、職種詳細、社員インタビュー、福利厚生ページなど、ヒアリング内容に応じた構成案を作成します。
議事録メモ
打ち合わせ内容を議題ごとに分けて、主な発言、論点、懸念事項、次のアクションとして整理します。
単なる文字起こしではなく、制作側が後から使いやすい議事録メモに変換することを重視しています。
概算見積もり
Web制作会社の初回提案や商談時に使いやすい、概算見積もりの金額レンジを生成します。
金額は固定額ではなく、下限と上限を持たせて表示します。仕様が未確定な段階でも「現時点ではこのくらいの幅」という説明がしやすくなります。
平均納期
案件規模や制作範囲から、平均的な納期目安を表示します。
納期は、素材支給日、原稿確定日、確認戻しの回数、撮影の有無、外部連携の有無などによって変動します。そのため、単に「4週間」と出すのではなく、納期の前提条件もあわせて確認できるようにしています。
見積もり項目
概算見積もりの内訳として、見積もり項目を自動生成します。
項目名、内容、数量、単位、金額レンジを確認でき、必要に応じて画面上で編集できます。金額の調整や項目追加、値引き行の追加にも対応しています。
必要作業
進行管理、設計、デザイン、実装、CMS、原稿、撮影、テスト、公開、保守など、案件に必要な作業をカテゴリごとに洗い出します。
見積もり項目とは別に「実際にやること」を整理できるため、作業範囲の抜け漏れ確認に使えます。
リスク・変動要因
金額や納期が変動しそうなポイントを整理します。
たとえば、原稿支給が遅れる、撮影範囲が未確定、フォーム仕様が曖昧、外部サービス連携の仕様確認が必要、といった要素を事前に可視化します。
次回確認事項
次の打ち合わせやメールで確認すべき質問を自動で作成します。
「撮影は必要か」「原稿は支給か制作込みか」「公開希望日はいつか」「フォームはGoogleフォームかサイト内フォームか」など、見積もり精度を上げるための確認事項を整理できます。
クライアント向けメール文
打ち合わせ後にクライアントへ送る確認メール文を生成します。
議事録の共有、見積もり前提の確認、追加で確認したい事項、見積書PDFを添付する旨などを、丁寧な文章としてまとめます。
追加リサーチ
案件メモから、見積もり精度を上げるために調べる価値がある項目をAIが抽出します。
競合、技術仕様、相場、実装条件、外部サービスの制約など、必要なものだけを選んで追加調査できます。調査結果は、提案や見積もり前提の補足として使えます。
見積書出力
生成した内容は、見積書として出力できます。
対応している出力形式は以下です。
- PDF印刷
- Markdown
- CSV
PDFでは、見積書番号、発行日、有効期限、宛先、発行者、件名、合計金額、平均納期、備考、見積もり項目をまとめて出力できます。
Markdownは、社内メモやNotion、GitHub、ドキュメント管理ツールへの転記に向いています。CSVは、スプレッドシートでの管理や会計・販売管理ツールへの取り込み前データとして使えます。
見積もり項目の編集機能
AIが出した見積もりは、あくまで初回たたき台です。
そのため、画面上で見積もり項目を編集できるようにしています。
- 項目名の編集
- 内容・前提の編集
- 数量の変更
- 単位の変更
- 項目追加
- 値引き行追加
- 項目削除
- PDF出力額の調整
AIの提案をそのまま使うのではなく、制作者の判断で整えたうえで見積書に反映できるようにしています。
顧客管理・案件管理
アプリ内では、顧客と案件メモを管理できます。
名刺交換した相手、商談中の企業、過去に打ち合わせした担当者などを登録し、案件メモと紐づけて保存できます。
案件ごとに、打ち合わせ日、場所、時間、文字起こし、AI分析結果、見積もり項目、調査結果を残せるため、あとから見返す営業メモとしても利用できます。
Google Drive連携
Google Apps Scriptを利用して、Google Driveフォルダ内のテキストファイルを取り込む機能も用意しています。
指定フォルダに文字起こしファイルを入れておくと、アプリ側で新しいファイルを検知し、案件メモとして取り込むことができます。
GAS側では、Gemini APIを使った分析、スプレッドシートへの保存、処理済みファイルの管理も行います。
ログインと保存方式
Firebase AuthenticationとCloud Firestoreに対応しています。
本番運用では、Googleログインまたはメールログインを使い、ユーザーごとに顧客・案件・設定を保存できます。
一方で、Firebase設定がないローカル環境ではブラウザ内保存モードとして動くようにしています。検証やデモではローカル保存、本番運用ではFirebase保存という使い分けができます。
想定ユーザー
このアプリは、以下のような人に向いています。
- Web制作会社のディレクター
- フリーランスWeb制作者
- LP制作やサイトリニューアルの商談が多い人
- 初回ヒアリング後の整理に時間がかかっている人
- 見積もり項目の抜け漏れを減らしたい人
- 議事録、提案前整理、見積書作成をまとめて効率化したい人
- クライアントへの確認メールを毎回ゼロから書いている人
特に、打ち合わせ後に「結局どこまでが制作範囲だったか」「この金額で何を含めるべきか」「次に何を確認すればいいか」を整理する場面で効果を発揮します。
Web業界以外での応用
もともとはWeb制作向けに作ったアプリですが、ヒアリング内容から見積もりを作る業種であれば応用できます。
検証では、食品卸業や内装リフォーム業のようなWeb業界以外の案件でも、近い見積額を表示できるケースがありました。
もちろん、業種ごとの単価体系や専門条件を完全に置き換えるものではありません。ただし、打ち合わせ内容を整理し、必要作業、変動要因、確認事項、概算レンジを出すという流れは、多くの受託型ビジネスに共通しています。
将来的には、業種ごとの見積もりテンプレートや単価ルールを持たせることで、Web制作以外の業界にも展開できる可能性があります。
制作で意識したポイント
1. 「AIっぽい回答」ではなく、制作実務で使える形にする
単に長い文章を生成するだけではなく、実務でそのまま使いやすい項目に分けることを重視しました。
案件概要、要件定義、ページ構成、見積もり、必要作業、リスク、確認事項、メール文という形に分けることで、ディレクターが確認しやすく、修正しやすい出力にしています。
2. 未確定事項を無理に確定しない
見積もりで危険なのは、不明点を勝手に確定してしまうことです。
そのため、AIへの指示では「不明点は推測で確定せず、openQuestionsに分ける」ことを明示しています。
確認済み、仮置き、要確認を分けることで、初回見積もりの前提を説明しやすくしています。
3. 金額は幅を持たせて表示する
初回ヒアリング段階では、仕様が完全に固まっていないことが多いため、単一金額ではなく下限・上限のレンジで表示します。
これにより、クライアントにも「現時点ではこの範囲」「仕様確定後に正式見積もり」という説明がしやすくなります。
4. AI出力を人が編集できるようにする
見積もりは最終的に人間が責任を持って判断するものです。
そのため、AIが生成した項目を画面上で編集し、必要に応じて金額や項目を調整できるようにしています。
5. 出力形式を複数用意する
PDFだけでなく、MarkdownとCSVにも対応しています。
クライアント提出用、社内共有用、スプレッドシート管理用など、用途に応じて使い分けられるようにしました。
技術構成
フロントエンド
- React
- Vite
- JavaScript
ホスティング
- Vercel
認証・データ保存
- Firebase Authentication
- Cloud Firestore
AI解析
- Gemini API
- Google Search連携による追加リサーチ
Google Drive連携
- Google Apps Script
- Google Drive
- Google Spreadsheet
出力
- ブラウザ印刷によるPDF保存
- Markdownダウンロード
- CSVダウンロード
主な画面
ホーム
顧客数、案件数、最近の案件、Google Drive自動取込の状態を確認できます。
顧客一覧
名刺交換した相手や商談相手を登録し、会社名、担当者名、関係性、タグ、メモを管理できます。
案件一覧
作成した案件メモを一覧で確認できます。案件タイトル、日付、見積もり確度、顧客情報を見ながら詳細へ移動できます。
案件作成
顧客を選び、打ち合わせ日、場所、時間、文字起こしを入力してAI分析を実行します。
案件詳細
要件、見積、メールのタブに分けて、AIが整理した内容を確認できます。
設定
会社情報、見積書設定、Gemini APIキー、Google Drive連携情報を設定できます。
ワークフロー例
Webサイトリニューアル案件
- 初回ヒアリングを録音する
- 文字起こしをアプリに貼り付ける
- AIが案件概要、要件、ページ構成を整理する
- 概算見積もりと平均納期を確認する
- 必要作業とリスクを見直す
- 見積もり項目を編集する
- 見積書PDFを出力する
- クライアント向けメール文をコピーして送付する
LP制作案件
- 広告開始日、素材支給日、訴求軸、フォーム仕様をヒアリングする
- 文字起こしをアプリに入れる
- AIが構成、制作範囲、概算金額、納期前提を整理する
- 不足している確認事項を次回質問として使う
- 見積書PDFと確認メールを作成する
自動取込運用
- Google Driveに文字起こしファイルを保存する
- GASが新規ファイルを検知する
- アプリ側で取り込み候補として表示する
- 必要なファイルを案件メモとして保存する
- 保存後、案件詳細で見積もりや確認事項を編集する
実装上の特徴
ローカル保存とFirebase保存の両対応
Firebase設定がない場合でも動作確認できるように、ローカル保存モードを用意しています。
本番ではFirebaseを有効にし、ログインユーザーごとにデータを分離して保存します。
見積書情報の編集
見積書番号、発行日、有効期限、宛先、件名、備考、平均納期、納期前提を編集できます。
会社ロゴや印影画像の設定にも対応しており、発行者情報を含めた見積書として出力できます。
AI解析プロンプトの設計
AIには、Web制作会社のディレクター兼見積もり作成補助AIとして振る舞うように指示しています。
出力はJSON形式で統一し、画面上で扱いやすい構造にしています。これにより、生成結果をセクションごとに表示したり、見積書やCSVに変換したりしやすくしています。
追加リサーチの導線
案件ごとに「調べる価値があること」をAIが抽出し、必要なものだけ選んで検索できるようにしています。
制作会社側が、提案前に調べておきたい競合、技術、相場、外部サービス条件を整理しやすくするための機能です。
今後追加したい機能
- 業種別の見積もりテンプレート
- 制作会社ごとの単価表設定
- 過去案件からの見積もり学習
- 見積書デザインテンプレートの切り替え
- 請求書・発注書への展開
- SlackやGoogle Chatへの共有
- 議事録ファイルの自動文字起こし連携
- APIキーをサーバー側で安全に管理する構成
- 複数メンバーでの案件共有
- 承認フロー付きの正式見積書作成
まとめ
見積もりくんAI Proは、打ち合わせ後の「整理する」「見積もる」「確認する」「送る」をまとめて補助するAIアプリです。
録音を文字起こしして貼り付けるだけで、案件概要、要件定義、議事録、概算見積もり、平均納期、必要作業、リスク、次回確認事項、メール文、見積書出力まで一気に進められます。
Web制作の初回商談や提案前整理を効率化しながら、見積もりの抜け漏れを減らすためのツールとして制作しました。
将来的には、Web制作だけでなく、食品卸業、内装リフォーム業など、ヒアリングをもとに見積もりを作る幅広い業種で使えるサービスへ発展させていきたいと考えています。